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台湾福祉視察レポート(緩和医療・在宅介護・介護保険・外国籍介護職員)

  • wqbizp
  • 2019年8月18日
  • 読了時間: 5分

先週、ある企業の社員研修で、通訳として同行を依頼され、台湾在宅医療を中心に視察・交流の3泊4日でした。 ・「台湾全土唯一の薬宅配と調剤の薬局会社」を訪問 台北にある台湾で唯一の薬を宅配する薬局の会社。 在宅の高齢者だけでなく、台湾の4割をも占める介護施設に薬を届けます。 同時に、薬に関する啓もう活動もしています。 日本と違って、配達しても制度からの給付金請求というのがありません。 台湾の医療機関の分布は非常に偏っていて、台湾東部や辺境の原住民の集落などには 医療機関が少なく、薬をもらうだけでも苦労が大きいです。 そこで台北から飛行機を使って薬を届けるだけではなく、そこの高齢者の安否確認もし、 健康促進のための活動なども特に制度から報酬をもらうこともない中で運営されています。 経営者の社会貢献に対しての熱意を感じられます。 しかし、利益がなければ事業は継続が困難です。 これまでは、都会で密集する在宅の高齢者や介護施設に薬を配達する際、 薬局と同じ役割で得た売り上げの一部を社会活動に回していましたが、 今年7月からは、給付という形でお客さんに、自分たちのビジネスの付加価値を認めてもらうなら、任意で給付していただく形をとりました。しかも一回の給付金額の上限を決めていて、 多くは取らないです。 ↓ (薬局のオフィス)         ↓ (給付金の封筒)

こうした地道な努力、そして品格と高い意識には、日本の皆さんは感嘆していました。 ・「国立台湾大学医学院付属医院」の緩和ケア病棟を訪問 20年間台湾の緩和医療を先導している医師の話を聞きました。

患者さんとその家族や友人を繋いで最後まで寄り添い、穏やかにお別れすることに日々奮闘中、ここもやっぱり医師とスタッフの物凄い熱意であります。20年前から臨床宗教師の派遣ステーションを設けて、宗教師の人材を育成しています。これらの活動は今年5月のNHKのクローズアップ現代でも紹介されました。宗教の力で人間の最終段階を穏やかにする取り組みは大きな成果を収めています。 医師の蔡先生はで、名刺交換した時だけで、その人間の温かみがじわーと伝わってきました。 そのような人でなければ、この仕事を務められないじゃないかと思いました。 このような人の力量があるから、台湾の臨床緩和の取り組みは世界から評価され、世界で三本指に入ると関係者から認められるほどになっています。

↓(医師の蔡先生と宗教師の皆さん)

・カトリック教の宗教法人傘下の医療施設(緩和病棟)&介護施設を訪問 台北から約80キロ離れた宜蘭市にある羅東聖母病院緩和ケア病棟/高齢者病棟(認知症ケアセンター、デーサービス、リハビリセンター)を視察し、交流を行いました。

寄付があるためほかの民間施設より手厚くできている印象です。 どの施設にも、違う宗教信仰の入居者さん向けにお祈り用の場所を設けています(法律で決められているそうです)。カトリック系の施設でも仏教やキリスト教の方もいて、逆の場合も同じです。 柔軟性と包容性が表れています。

宜蘭市は地方都市であり農業が営む人が多いであるため、 大都会より経済的には恵まれていないのですが、このような宗教団体のおかげで、 この土地の高齢者が昼間はデーサービスに通ったり、入浴訪問サービスを受けたり、 新しく設置された認知症ケアセンターへいくことができます。

台湾の福祉サービスの分野では、宗教団体や慈善団体、ボランティア組織が社会への貢献が非常に大きく、制度やサービスの未整備部分を補っています。 2018年3月の統計では、台湾の高齢者人口は338万人,総人口の14.35%を占めています。2017年1月から始めた「長期介護2.0」(10年計画)の 特徴として、地域全体でのABC介護モデル(地域包括サービスセンター、複合型デーサービス、長期入居施設)による高齢者の地域居住(エイジング・イン・プレイス)を実現することです。「長期介護1.0」よりサービスの範囲が大幅に拡大しましたが、一番ネックとなるのが財源は税金となっているため、不安定な要素が大きいです。 ・台湾の25万人の外国籍の介護スタッフ 台湾も日本同様、介護人材が大変不足しています。 しかし外国籍の介護スタッフが在宅のケアギバーを含めて現在25万人もいます。 国順はインドネシア、フィリピン、ベトナムとなっています。 在宅の場合は、住み込みでお年寄りのケアをします。 昼間デーやリハビリセンターに通う際、ケアギバーは付き添いで同伴します。 見学した病院のリハビリセンターでは、外来の高齢者患者に付き添いをしているのはケアギバーですが、スマホばかり見ている人もいるし、ケアギバー同士でおしゃべりしている人もいます。かなりのびのびで自由な様子が伺えます。介護の仕事に勤めるにあたって、言語に対する試験など無し、時間が経つにつれ、言葉を覚えていきます。あるケアギバーと話しができました。台湾にきて3年目、中国語はかなり上手で、「家族の一員として受け入れられている」と話しされました。 そして、見学した介護施設の現場では、張り紙などの業務注意事項には、英語やその他の言語が書かれています。他国で働く目的は、カネを稼ぐため、夜勤など多めにしたいとの申し出に、施設側が応じるようにしていると、施設長がお話されました。


台湾は中国本来の伝統と文化を継承しつつ日本の良いところも吸収するのが上手で、これは介護分野でも見受けられます。その上、外国籍のスタッフが地元出身者より低賃金で(施設では15%少ない)介護を支えることに対して柔軟に対応しています。こういう面では日本にとって参考になることが多いのではないかと思います。

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